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葬儀を終えて…

無事葬儀を終え、帰宅してこれを書いている。

享年82歳。

俺は10代の頃から故人の元で修業してきた。

俺にとってはルーツみたいなもの。


「修業した」

と言ったものの記憶にあるのはひたすら殴られたこと。

もうキチガイみたいな人で暇さえあれば殴る。

なんせ過去に門下をひとり、雪の降る真冬に寺の木に縛り付けて殴り殺しているから油断出来ない。

人生でこの人ほど俺を殴った人はいない。

そして俺はこの人から何を学んだのだろう?

理不尽。

そう、兎に角理不尽な人だった。


例えば

10代で初めてこの人と対面した時。

三階建ての自宅の玄関で

「失礼します!」

と大声で挨拶したら

「足がクセェ馬鹿野郎!」

と三階から木刀持って駆け下りてきたこの人に俺はボコボコにされる。

仮にホントに足が臭かったとしても三階にいて分かるはずなんてないことくらい10代の俺だって知っている。

どんでもねぇとこに来ちゃったなぁ…

と。


例えば

この人を車の後部座席に乗せ運転手と助手席の俺。

「右へ曲がれ」

当然運転手は右へ曲がる。

「馬鹿野郎、左だ!」

と助手席の俺の後頭部にパンチの連打。

運転手は一旦バックして左へ一方通行を指示通り逆走する。

「馬鹿野郎、一方通行だろ!」

と助手席の俺がまた殴られる。

なんで俺が?

理不尽。


例えば

飯を腹いっぱい食った直後に不意に顔出したこの人、開口一番

「飯食ったか!」

当然

「頂きました」

と。

危険を察知した俺は急いでトイレに駆け込み、さっき食ったものを全部吐き出す。

案の定この人

「じゃあ食え!」

と、うな重の大盛りをふたつ食わされる。

理不尽。


例えば

高速道路を移動中に一瞬居眠りをしたところを見つかり、そのまま外に放り出され

「戻ってくるまでここで正座して待ってろ!」

と高速道路上に置いて行かれる。

俺みたいな馬鹿でも、帰りは逆の車線で連れて帰ってはもらえないことくらい分かるからテクテク歩いて高速を降り、タクシーを拾って帰る。

これ以来、車で一緒になる時はライターを手に握り眠くなったらこっそりライターで自分の指を炙るようになるが、ある時それを見つかり

「馬鹿野郎、車が焼けたらどうすんだ!」

と。

焼けねぇだろ!

と心の大声。

理不尽。


例えば…

実例を挙げていたら1冊本が書ける。

まぁこんな人だから耐えられずに逃げ出す者が続出。

一度この人の機嫌がいい時に一緒に数えたことがある。

約120人

これだけの人数が入門したが、今残っているのは俺一人。


俺はこの人の元で何を学んだか?

総括すると

理不尽に耐えうる精神力、かと。

だからこの人が死ぬ直前に

「随分殴られましたがいい修行になりました」

と感謝を伝えたら

「修行?あれはイジメてたんだよ。すまなかったなぁ」

だって。

最後の最後に俺がこの人に対して初めて伝えた感謝の意を笑顔で平然と引っ繰り返す。

「さっさと死んじまぇ!」

とは思わない。

最後まで理不尽を通してくれて安心した。

誰かの死っていうのはいつか迎える自分自身の死でもある。

だから人の死をしっかり見届けて己の死期の糧としたい。

でもなぁ

「すまなかったなぁ」

なんてのはいらなかったよ。

ある意味これも理不尽、かな。



まぁ色々とあったがこの人は紛れもなく俺のルーツ。

一門で最後の生き残りである俺は誠心誠意送らせてもらったよ。



実はね

この人死ぬ何日か前に一時帰宅させたのだが、帰りに刃物を病院に持ち込んでね。

夜一人になったら自決するんだと。

まぁ自分の命だからどう捨てようがとやかく言う筋合いではないが、聞いたらその刃物が古くて切れ味が鈍っているんだと。

しっかり切れる刃物なら黙って置いておいたんだが…

死期迫って刃物を握るのが精一杯なところに切れ味の鈍い刃物じゃ余計苦しいだろうし、場所は病院だから下手すれば10針縫って済んでしまう。

だからこっそり刃物を取り上げてしまった。

それが正しいのか間違っているのか?

俺自身が死期近くなって同じ立場になって初めてその答えが出るんだろうね。

死ぬまで解けない難問がまたひとつ…


さて寝よう。

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PROFILE

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埼玉under ground label
666CONNECTION BOSS

埼玉HIPHOPシーンで暗躍する最低で最悪な日本男児。

■イベント[666CONNECTION]主催
■イベントプロデュース、トラック制作、CD制作・販売、若手アーティストの育成などを行う。
■2014.9 1st アルバム[SAITAMA最前線]をリリース。
■2015.3 コンピレーション・アルバム[THA STREET VIBES]をリリース。

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